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2021年7月

2021年7月12日 (月)

非化石価値取引市場の抜本的な制度変更


 
【覚え】非化石価値取引市場の抜本的な制度変更
 
 2021年3月26日に開催された第48回電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会にて、資源エネルギー庁より提示された。提示された制度変更案では、現行の非化石価値取引市場を、再エネ価値取引市場(仮称)と高度化法義務達成市場(仮称)の2市場に分離する。FIT非化石証書を取り扱う再エネ価値取引市場では、大口需要家の市場参加を認めることに。非FIT非化石証書は、再エネ指定のあるもの(大型水力、卒FIT)と、ないもの(原発)に分かれる。

 
非化石価値取引市場について~~とっても分かりにくい(>_<)

 
(1)FIT非化石証書(再エネ指定あり)…FIT電源(Ex. 太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱)。再エネ価値取引市場。発電事業者から小売電気事業者への電気の流れが明示される(トラッキング=経路情報明示を導入)。RE100にはトラッキングが必須。RE100をめざす大口需要家が市場に参加できることに。RE100とは、使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にする事に取り組んでいる企業が加盟している国際的なイニシアティブ。

  
(2)非FIT非化石証書(再エネ指定あり)…非FIT再エネ電源(Ex.大型水力、卒FIT等)。高度化法義務達成市場(エネルギー供給構造高度化法は2009年に制定。高度化法とは、年間販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者(98%)に対して、自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることを求めている。ここもトラッキングを導入か。

  
(3)非FIT非化石証書(再エネ指定なし)…非FIT非化石電源(Ex.原子力等)。高度化法義務達成市場。原発はトラッキングなしで、十分だろう--どこの原発で作った電気か、なんてことは誰も興味がないだろうし。原発の電気であることを証明する証書を持っていて、何の役に立つのだろうか。意味不明(>_<)
…関電の下請け仕事を「特命受注」するには、この証書を一定以上持っていることが資格条件とか (^ ^;;、これは考えられるね(^o^)

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2021年7月10日 (土)

2020年度冬の電力高騰の原因は、関電の原発依存にある

【グリーンピープルズパワー】

◆2020年の末から今年にかけて発生した市場価格の異常な高騰について、グリーンピープルズパワー(再生可能エネルギー100%電気の目指す電力会社)によるパブコメでは、原発問題を明確に捉えて関電の責任を指摘している(5/24)。
以下、その原発関連部分をピックアップ。(とくに★の部分)

◆8、隠されている原発問題
・売入札を減らした原因は原発であることを認めるべき。
・「中間取りまとめ」はLNG在庫減少の原因を、天然ガス産地の減産やLNG輸送上のトラブル、そして厳しい寒気としている。しかし、「中間取りまとめ」が触れていないLNG在庫減少の原因があった。高浜原発3号機と大飯原発3号機の運転停止延長だ。12月には、この2機の原発は運転中のはずだった。
・大飯原発3号機は9月26日運転開始予定だったが、配管亀裂が見つかり延期、再開見通しは立たなくなった。高浜3号機は12月22日に運転開始予定だったが蒸気発生器細管トラブルで延期。代替の天然ガス燃料調達には2、3ヶ月を要するが、停止延長発表が10月後半で間に合わない。12月の発電計画から205万kWの電源が消えた。
・12月中旬から電力市場への売入札を絞りはじめた原因はここにある。普段なら「だから原発は必要」と騒ぐところ、今回「中間取りまとめ」もあえて無視している。
★1基100万kWの巨大発電所は、急に停止すると需給計画に与える影響が大きい。稼働40年を超える老朽設備は、それだけで多くのトラブルを抱えている。最近は裁判で運転停止を命じられることも増えてきた。おそらく最も信頼性の低い電源が原発だ。原発は需給調整のお荷物だということが明白になってきた。そのことを見事に証明したのが、今回の市場価格高騰と言えるだろう。需給計画を原子力に依存し続けることは危険である。

【はとぽっぽ通信】

◆僕が『はとぽっぽ通信』にまとめた記事(4/28)「大手電力の大儲けと 新電力の苦境~~ 電力価格の高騰と関西電力、原発ゼロ法についてのメモ」では
┌─────────────────────────────────
山家公雄(やまか・きみお)京都大特任教授(エネルギー戦略研究所所長)は、大きな発電設備をもっている関電が、原発に頼りきり、備えをおこたり、供給を調整できなかったことを示唆しています(毎日新聞2021/2/23)。
└─────────────────────────────────
とか
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この冬の電力価格高騰の状況でも、原発に頼りきり、備えをおこたり、供給を調整できなかった関電の劣化した姿をみることができます。その上、12月後半~1月前半、自社発電分を全量、自社小売に回し、卸電力取引所(JEPX)への供給をゼロにし、スポット市場で大手電力に課された事実上のルールを無視!
└─────────────────────────────────
という指摘はしてきた。

【原子力資料情報室】

◆その後、原子力資料情報室の調査レポート「原発の定期点検長期化が卸電力市場価格高騰の原因か ―巨大電源の隠れたリスク―」(5/14)でも、関西電力の原発定期点検の長期化が、関西電力のLNG調達計画に影響を与えた可能性が見えてきた、と指摘している。

【まとめ】

◆2020年度冬の電力高騰の原因が、関電の原発依存にあることは明白になってきた。

最も信頼性の低い電源が原発!
原発は需給調整のお荷物!
需給計画を原子力に依存し続けることは危険!


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