2020/12/04 大阪地裁判決についてのmemo
【まとめ】
2020/12/04 大阪地裁判決における
「不確かさ」と「ばらつき」に関する memo
┌─────────────────────────────────
◆「不確かさ」とは
└─────────────────────────────────
大飯原発近くのFo-B~Fo-A~熊川[エフオービー、エフオーエイ、くまがわ]断層について、地下の構造はすべて確実に分かっているわけではないので、断層モデルを設定するが、その各項目に「不確かさ」として余裕をもたせること。
(例えば、断層傾斜角は基本ケースの90°を75°に設定するなど)
┌─────────────────────────────────
◆「ばらつき」とは
└─────────────────────────────────
断層モデルから地震規模を求める経験式(経験式とは過去の地震を元に作成、「入倉・三宅式」など)によって基準地震動を求めるが、経験式は平均値であって、当然「ばらつき」を有している。将来起こる地震は、平均値で起こるとは限らないので、平均値では基準地震動が過小になり地震で機器が壊れる可能性。
┌─────────────────────────────────
◆「ばらつき」を考慮した場合の大飯原発の基準地震動
└─────────────────────────────────
平均値から設定された現行の基準地震動856ガルに対して、地震規模を求める経験式の「ばらつき」を考慮すると、1標準偏差で、現行の856ガル→1150ガルになる。原告の主張は、少なくともここまでは考慮すべき。2標準偏差で、856ガル→1540ガルになる。
┌─────────────────────────────────
◆「不確かさ」と「ばらつき」の関係
◆否定された国の主張
└─────────────────────────────────
当初より「不確かさ」は考慮しているので、「ばらつき」は考慮する必要がない。もし「ばらつき」を考慮するならば、「不確かさ」は検討しなくてよい(重ねて考慮しない)ので、基本ケース(「不確かさ」も「ばらつき」も考慮しない場合)の606ガルが、812ガルになる。現行の基準地震動856ガルの範囲内に収まっていて、問題ない。
┌─────────────────────────────────
◆「不確かさ」と「ばらつき」の関係
◆認められた原告の主張
└─────────────────────────────────
「不確かさ」と「ばらつき」の両方を考慮すべき。
規制委の地震動審査ガイドにも、はっきりそう書いてある。
以 上
*****************************************************************************************************
1.ばらつき条項の第2文は、国が主張する「留意点にすぎない」ものではない。
第2文は、平均値より大きい方向にかい離する可能性を考慮するという積極的な意味。
2.ばらつき条項は、震源特性パラメータの設定に関する基準の一つ。
3.川瀬報告書(国の証拠)は、ばらつきを上乗せする必要がないことを裏付けるものではない。
4.活断層の長さ等を保守的に設定した上で、更に地震規模(地震モーメント)を保守的に設定するということに何ら矛盾はない。
5.安全余裕論を批判
「余裕を持った設計」がされていても、基準地震動の策定は適切でなければならない。
6.経験式が有するばらつきについて検討した形跡がない。
7.複数の断層の連動や断層面積を大きく設定することは、地震規模のばらつきの考慮とは異質なもの。相互に補完するものではない。審査ガイドでも区別して定められている。
8.被告が最後に出してきた、「ばらつきを考慮」して「不確かさを考慮しない」場合の810ガルは、「前提を誤るもの」。

