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2013年10月13日 (日)

ハイパ地B--抜き書き(11) 原発

 電子書籍版の『高校 ハイパーテキスト 地理B』(ハイパ地B)からの抜き書きです。
地理の中では,当然,原子力発電もあつかいますが,本書では,脱原発を主張しています。
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12章 資源・エネルギー問題
 1節 世界の資源・エネルギー問題
  (5)原子力発電の問題

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本文は次の通りです。

①原子力発電を止めるべきおもな理由
・民主主義との関連。
・困難な放射性廃棄物の処理。
・原子力発電と核兵器とのつながり。
・原子力発電所の事故。
・原料の有限性。
・高いコスト。
→「環境基本法と放射能汚染」(★)を参照のこと。

②民主主義との関連

・原子力発電は,巨大で危険な技術なので,国民の民主的な管理よりも,中央集権的で一極集中的な政治,専門家による知識独占,企業による秘密主義と結びつく。

・太陽光,風力,バイオマス(生物由来の資源),地熱などの自然エネルギーは,より小規模であり,民主的な管理や運営と両立が可能。脱原子力社会とは,分権的な社会のことであり,分権的な社会こそが,再生可能エネルギー(★)をはぐくんできた。
(→Book:高木仁三郎『市民科学者として生きる』岩波書店)
(→Book:長谷川公一『脱原子力社会へ-電力をグリーン化する』岩波書店)

③困難な放射性廃棄物の処理

・原子力発電にともなって排出される放射性廃棄物は,長いものでは数万年にわたって管理しつづけなければならないが,それはきわめて困難である。国土全体が環太平洋造山帯(★)に属し,全国どこででも地震がおきる可能性がある日本では,超長期にわたって安全な廃棄場所を得ることは,不可能である。

・世界的にみると,これまでの多くの放射性廃棄物が,海洋などに不法に投棄されてきた。
(→Book:野口邦和『放射能事件ファイル』新日本出版社)

④原子力発電と核兵器とのつながり

・原子力発電(原発)と核兵器には,深い関係がある。電気をつくるだけなら,原発にこだわる必要は,まったくない。しかし,原発があれば,核兵器の原料であるプルトニウムを保持することができる。このため,日本には“すぐに核兵器を製造しなくても,いつでも製造することができる”という,「潜在的核抑止力」を,原発に期待する政治勢力が存在している。

・しかし,潜在的にしろ,核兵器に依存する体制は,それに脅威を感じた隣国,他国などの核武装化を誘発しやすい。カシミール地方(★)の領有をめぐって対立するインドとパキスタンは,現在ではともに核武装にいたっている。

・潜在的な核武装願望がある中では,「脱原発」を主張することは,「反核平和」と同じ意味になる。日本の脱原発運動は,平和主義を掲げて戦争放棄を定めている日本国憲法を守る運動に直結している。

⑤原子力発電所の事故

・原子力発電は,安全性の技術的解決が困難。原子力発電所の事故は,人間と自然にとって巨大なリスクとなる。

・2011年,東日本大震災(★)により,福島県の福島第一原子力発電所がシビアアクシデント(過(か)酷(こく)事故)をおこした。放出された放射線により自然環境は取り返しがつかないほど汚染され,15万人の人々が故郷に帰れないでいる。

・この事故はスリーマイル島原子力発電所事故(アメリカ合衆国,1979年)のレベルをこえ,旧ソ連(現在のウクライナ)(★)のチェルノブイリ原子力発電所(1986年)の事故と同じ最悪レベルの事故である。

・この事故の後,地震の多い日本では原子力発電(原発)は安全ではないこと,放射性廃棄物の処理に目処が立たないことなどが改めて認識され,将来の日本のエネルギー政策は,再生可能な自然エネルギーに転換していくことが提起されている。

・原子力発電所の運転には,これまでから多くの労働者の被曝労働を必要としていたが,今後数十年に及ぶこの事故後の処理や,“除染”作業などで,ますます多くの被曝労働者が求められることになる。

(→Book:三宅泰雄『死の灰と闘う科学者』岩波書店)
(→Book:野口邦和『原発・放射能 図解データ』大月書店)
(→Book:今中哲二,原子力資料情報室『「チェルノブイリ」を見つめなおす-20年後のメッセージ』原子力資料情報室)
(→Book:アレクセイ・V・ヤブロコフほか『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店)
(→Web:主要国の原子炉数とこれまでの主な原子力事故|社会実情データ図録,本川裕)
(→Web:原子力事故|Wikipedia)

⑥原料の有限性

・核燃料サイクルが可能にならない限り,ウラン鉱の可採年数は,石炭の100年ほどと同程度しかない。資源の有限性がみえている。ウランやプルトニウムに固執するのではなく,無限の再生可能エネルギーに技術力を集中していくことが求められている。

⑦高いコスト

・原子力発電のコストは,他の発電に比べて安いということはない。いったん事故をおこせば,電力会社の補償額は莫大となり,政府の特別な支援がない限り,会社自体が事実上,存続できない。核燃料サイクルにおいても,日本ではこれまで多額の資金を投入してきたが,実現性はきわめて乏しいので,撤退する国が多い。
(→Book:大島堅一『原発のコスト-エネルギー転換への視点』岩波書店)

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 これらの本文の間に,以下の事項について,詳しい解説(補説)を付けました。

■原子力ムラ
■放射線の危険性
■被曝と被爆
■国際原子力事象評価尺度
■核燃料サイクル
■プルサーマル計画

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(→Book)……クリックすると,参考図書のページへ。
(→Web)……クリックすると,参考のWebページへ。
(★)……クリックすると,本文中の説明箇所へ。

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