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2012年10月24日 (水)

愛媛県の原子力防災訓練

 2012年10月23日,伊方原発30km圏で愛媛県の原子力防災訓練が行われた。
なお,30km圏の避難対象者は,約13万人にのぼるとのこと。

[0] 明らかになったこと

・避難する交通手段と経路が,ひじょうに心許ない。
・13万人の避難先と受け入れ態勢が,できていない。
・“訓練のための訓練”をしても,事故が起こったときには,役に立たない。
・原発の存続を前提にした大規模な訓練に,大勢を動員し,お金をかけても,ムダ。

 以下,マスコミ報道を聞いたり読んだりしたことを元にまとめているが,「 」内の文字は各新聞から転載した部分。

[1] 10/23 夜のNHKニュース

・ヘリが10機参加の予定だったが,荒天で3機しか参加できなかった。
・訓練の避難にも一定時間がかかったが,13万人の避難はどうなるのか。

 (ニュースの中では今回の避難訓練への住民参加者数も言っていたと記憶しているが,数字は忘れた。ニュースの場合,NHKオンデマンドでも月額945円の会員にならないと,見ることができない。1週間くらいなら無料で再視聴できるようにして欲しいものだ。新聞なら,図書館で後からでも無料で調べることができるのだが。)

[2] 10/24付け朝日新聞(愛媛版)

・記事の見出し…「原発避難の足 不安
 リード文…「参加した住民は,実際に事故が起こった場合への不安を口にした
・パトカーの先導で1時間で避難所に到着。住民は「そもそもバスが迎えに来られるのか」と言っている。パトカーが先導してくれれば,そりゃ,早く着くさ。実際の避難のときに,そんなことが期待できるのだろうか。
・大型バスに乗り高速道路で50分ほどで避難所に到着。大型バスとか,高速道路とか,この訓練は条件が整いすぎだ。住民は「もし自分の車で逃げて道路が渋滞したら,今日のように逃げられるのか心配だ」と言っているが,当然の心配だ。

[3] 10/24付け愛媛新聞

[3-1] 放射線をモニタリングするラミセス

・ラミセスとは
・陸海空で放射線量を測定し,携帯型の端末からデータを送信し,データを集中管理するモニタリング情報共有システム。今回の訓練では“ラミセス”を初めて活用。放射性物質の拡散を予測するSPEEDIのデータも同時に把握できるとのこと。

・ラミセスは実測値,SPEEDIは予測値,その組み合わせで,避難順位や避難方向,飲食物の摂取制限の判断に使うようだ。

・ラミセスの疑問
・ラミセスでは,過酷事故が起こったときも,誰かは避難せずに放射線量を測定しに行かなければならない。誰が測定を担当するのか。いつまで測定するのか。今回の訓練では,11班で測定とのことだが,人数は不明。
・住民は「風向き次第で逃げる方向は変わる。正確な情報は伝わるのか」と不安。
・また,地震,津波,土砂崩れなどの「複合災害で孤立しないか」と懸念している。
・京都大原子炉実験所の藤川陽子教授(放射能環境動態工学)「山間部など気象条件が細かく違う場所では線量値予測は難しい。また各地の実測値を絶えず把握するには限界がある」,「予測と実測値で相互補完しながら,適切な避難ルート選びにつなげることが重要」とコメントしている。コメントの前段と後段がどうつながるのか,わからない。記者の表現力の問題か,学者の考え方に問題があるのか,そこは不明だ。

[3-2] 今回の訓練日はたまたま悪天候

・ヘリによる避難は,当初8機を予定していたが,悪天候で6機が不参加となった。
(この数字は,夜のNHKニュースとは,数が異なっている)
・民間フェリー1隻も,出動できずじまいであった。
・伊方町では,ヘリと民間フェリーの計4ルートの避難が中止された。

・想定していた避難手段が使えないことが想定されるが,八幡浜市の副市長は「自家用車だと道路が無事なら避難できる。」とのこと。道路が無事という前提が成り立たない可能性は,ひじょうに大きいと思うのだが,副市長は,それがゼロではないと,言いたいのか,支離滅裂の発言だ。

・地震も津波も原子力事故も,悪天候の日には決して発生しないと言うならば,何ら問題はない。

[3-3] 空路での避難

・見出し「悪天候 ヘリ大半使えず」とある通り,空路は気象条件にとくに左右されやすい。
・ヘリ1機,1回で避難できる人の数は,何人なのか。13万人のうち,どれだけの人が利用できるのか。限られた条件の場合のみ使える避難手段だろう。

[3-4] 海路での避難

・これも気象条件に左右されやすい。「空や海の移動・輸送は天候に左右され,不確定要素が潜在していることが浮き彫りになった。」と指摘している。
・そして,どんな船を使うのか。今回は,海上保安庁や海上自衛隊の船が中心で,民間のフェリーは不参加,漁船は使われていないようだが,全体として,海路の避難数をどの程度と見積っているのか,不明だ。
・また,海路の場合,港の岸壁が壊れたらどうなるのか。フェリーや漁船は使えない。
・今回訓練に参加した海上保安庁の巡視船や自衛隊の艦船は,実際の苛酷事故の場合は,どれくらいの時間で,住民避難の援助にかけつけることができるのか。

・宣伝用目玉のエアクッション揚陸艇(ようりくてい)
・岸壁が壊れた場合を想定して,海上自衛隊のエアクッション揚陸艇を利用し,宇和海で待機する大型輸送船へ避難する訓練も行われた。
・エアクッション揚陸艇に乗った住民は,「すごく揺れた。冬場の北西季節風が来たらこんな揺れでは済まない。」という感想を述べている。

・テレビや新聞では“絵”になる船で注目を集めやすいだろうが,今回の訓練の宣伝用目玉だろう。そして,あくまで軍事用なので,乗り心地なんかを考えてあるはずがない。高齢者や要介護者などを搬送することは,まず無理だろう。
・輸送量はどれくらいあるのか。愛媛新聞1面の掲載写真やテレビニュースで見る揚陸艇は,そんなに大きくない。訓練では,2回で160人を運んだとのこと。
・そもそも実際に役に立つのか。今回,エアクッション揚陸艇を利用した浜辺の場所について,住民は,その浜は「予想津波高が10メートルある。複合災害時にここから避難できるかは疑問」としている。

[3-5] 陸路での避難

・田舎ではどこでもそうだが,もともと道路がひじょうに狭い。ちょっと山の中に入ると,道幅が合計1車線しかなくて離合困難という道が多い。そういう道には,ときどき道路幅を広げて離合場所がつくってあるのだが,曲がりくねって見通しがきかない場合,突っ込んでお互いに動けなくなり,一方が離合場所までバックを余儀なくされることが珍しくない。

・山沿いにせまくて曲がりくねった道路では,地震のときは土砂崩れが起こる。海岸沿いをはしる道路も多い。地震や津波のすぐ後に,果たして通行できるのか。
・限られた国道,高速道路が使えたとしても,相当の渋滞となる。「国道にみんなが殺到すれば,全員が立ち往生してしまう。複数のルールを用意しないといけない。」とも言えるが,複数のルートを用意できるようなところは,きわめて限られるだろう。複数のルートがあったとしても,せいぜい二つか三つ,殺到して渋滞という事態は避けられないだろう。
・特別養護老人ホームから,自衛隊の救急車で陸上搬送する訓練では,「揺れがひどく,移動中は利用者への負担が大きいと感じた。今日のような悪天候では体調を崩す可能性もある」との声。

・道路が寸断されるケース
・現実には,土砂崩れなどで道路が寸断されるケースが想定されるが,八幡浜市の副市長は「比較的早く復旧できそうな道路を,誰がどのように作業するのかなど対応の確立が重要になる。」と言う。「誰がどのように作業するのか」,それを“確立”することが,実際に可能ならばの話だ。“重要”なことと,“可能”なことを区別していないようだ。“原子力災害を起こさないことが重要になる”と言っているのと同じで,まるで意味がない。

・ひどく汚染されてしまった地域で,道路復旧なんかをしている余裕があるのか。山間部の道路の復旧と言えば,1か月,2か月,長ければ1年単位の話だろう。大型重機がすいすい来て,足場の硬いところでエイヤッと作業をするのとは,わけが違うのだから。田舎ではすぐに分かることだが,道路の新設とか復旧というのは,実にたいへんな工事だ。

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