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2009年11月21日 (土)

地理の編集者のために ■ [2]

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高校地理,中学地理,小学5年など
「地理」の学習参考書の編集者のために

[2] 用字用語の考え方
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(01)解説文では,意図的に漢字を減らす。

 ・あまり漢字が多いと,紙面が黒々としてしまうので,
  ある程度,ひらがなを使う。子供が,漢字に弱いということもある。

 ・ひらがなを多くすると「安っぽい感じ」がすると言われることもあるが,
  漢字を多くすれば「高級な感じ」を出せるのか,疑問。
 ・普通に漢字を使っていくと,紙面に多くの漢字が詰まってきて,
  ページの見た目が黒くなり,詰まった感じ,難しい印象になってしまう。
 ・読者に難しい印象を与えると,買ってもらえない可能性が高まる。
  (難しい本を使いこなせる人はやはり少数)。
 ・漢字の制限は,読者が書店で本を手に取ったときのイメージを,
  実購買に結びつけるために必要。

 ①名詞…漢字。地理用語,固有名詞もあり,ひらがなにはしにくい。
 ・漢字を使い,ルビを多めに付ける。
 ・それでもひらがな(カタカナ)にしたい名詞がある。
  →ごみ(ゴミ),むだ,できぐあい,なごり,だれ,みな,
 ・とくに難しい漢字は,小中ではひらがなにすることも。
  →かんがい,じかまき

 ②動詞…漢字を少なめにする。
     漢字を制限して,ひらがなにするものを決めておく。
 ・「撤退する」「栽培する」「面する」などは,ひらがなにしない。
 ・動詞の漢字を制限すると,用語などの名詞がめだってくる効果もある。
 ・体言止めにして,動詞を省略するのは,よい方法。

 ③副詞,接続詞…ひらがな。
 ・いちばん,ひじょうに,ともかく,もっとも,すべて,とくに,
 ・たとえば,ただし,しかし,したがって,
 ・「必ず」は漢字するなど,例外は決めておく。

 ④形容詞…たいていは漢字。ひらがなにする字は決めておく。
 (例)きびしい,むずかしい,まぎらわしい,おもな

 ⑤その他,形式的な名詞など
 ・さかん,たくさん,など,もの,こと,とき,という,とよぶ,たいへん

 ただし「ひらがなばかりあまりつづいてしまうような」場合は,
  読みにくい。
  →「ひらがなばかりあまり続いてしまうような」…適宜,漢字に。
  →「ひらがなばかり,あまりつづいてしまうような」…カンマを入れる。

(02)ひらがなにする動詞その他

 ・ひらがなにするものを原稿段階からあらかじめ決めておくと,
  校正時にも混乱しない。
  そのページ内では統一しておきたいが,
  たまに,はずれていても,過度に気にしない。
 ・前後にひらがなばかり続く文中とか,改行したくないときには,
  漢字にするときもある。

 (例)ひらがなにするものを決めておく。
   (基準…使用頻度がかなり高い,読みがやや難しい,
    使用法が紛らわしい,形式的な動詞)

  ア行……合う,会う,当たる,表す,現れる,有る,
      言う,言われる,行く,
      浮かぶ,受ける,
      描く,
      行う,起こる,興る,遅い,遅れる,及ぶ,
  カ行……変える,替える,来る,削る,異なる,断る,
  サ行……栄える,盛ん,沈む,占める,進む,狭い,沿う,
  タ行……作る,次ぐ,付ける,続く,出る,解く,
  ナ行……無い,伸びる,
  ハ行……挟む,始まる,初めて,省く,引く,吹く,含む,増やす,
      減らす,隔てる,
  マ行……見る,難しい,結ぶ,持つ,基づく,
  ヤ行……呼ぶ,
  ラ行……
  ワ………

  (例)上記にあげていないものは,すべて漢字にする。
  ア行……集まる,送る,覚える
  カ行……書き込む,考える,決める,加える,答える,
  サ行……示す,知る,生ずる,接する,属す,
  タ行……使う,通る,
  ナ行……流れる,
  ハ行……
  マ行……認める,求める,
  ヤ行……読む,
  ラ行……
  ワ………分かる,分ける,

  (例)その他,決めておくもの。
   くり返す,つけ加える,向かいあう,…………きりがないが。

(03)動物や植物(家畜や農作物)の名称

 ①理科では,植物名,動物名をカタカナにする決まりがあるようだが,
 ・社会では,どちらでもまちがいというわけではない。
 ・教科書でもそれぞれ(「小松菜」なんて表記がある)。

 ②漢字にする問題点は,紙面で漢字が詰まってくるということのほかに,
 ・漢字にするか,かなにするかの境界がはっきりしない問題がある。
 ・白菜はまだしも(「しろな」と読む人がいるかも?),
 ・人参,甜菜などは,ちゃんと読めるかどうか,微妙
  (ルビを付けると煩雑)。
  ・栗,柿くらいは良くても,蜜柑,葡萄となると,漢字で良いのか,疑問。

 ③ひらがなにすると,地の文(説明文)と紛らわしいので,
  カタカナを基本とし,
  その上で,漢字にするものを決めるのが,いちばん良い。

  (例)漢字にするもの,その他
  ・菊…電照菊を「電照ギク」とするなら,カタカナでも可。
  ・い草…「イグサ」の表記でも可。
      草を取って「い」「イ」という表記もある。
  ・落花生…「ラッカセイ」はあまり見かけないが,これでも良い。
  ・肉牛,乳牛,鶏,豚,羊(羊毛などと使うので)は,漢字。
  ・山羊(←ルビが必要。もしくはカタカナ)
  ・ジャガイモ(ばれいしょ,馬鈴薯)…日常生活では“ジャガイモ”。
   適宜,補足する。
  ・サツマイモ(かんしょ,甘薯)
  ・「日本ナシ」という表記は,普通でないと思われる。
   ナシ,西洋ナシの区別で十分。

 ④全部『日本国勢図会』に揃えるという手も考えられるが,
  ・この本には「日本ナシ」という珍奇な独自表現もあるので,
   うかつには乗れない。
  ・ナシは,「ナシ」と「西洋ナシ」に区分する。

 ⑤表記は編集部で決めてよいが,著者が強く主張すると,
  「では,オウトウだけは漢字で“桜桃”に」などとなって,
  統一性が欠けてしまうが,著者の指示は仕方がない。

(04)分かち難く一体の用語は,中黒「・」で結ぶ。

 ①映像・音声・文字情報制作業…出版業は産業分類としてはここに入る。
  パルプ・製紙工業,インド・ヨーロッパ語族
  「日本標準産業分類」では,中黒でつないで表記するものがよくある。

 ②サケ・マス……サケとマスは,生物学上はまったく同一で,
  昔からの名前が違うのみ。
  (例)サケ・マス,カニ,ニシンの漁獲が多い。
     ↑このような場合,「・」と「,」を使い分けて表記する。
    この文で,すべて中黒にしてしまうと,
    魚種の区切りが不明になってしまう。
    サケ・マスをサケだけにしても問題はないが,
    習慣的にいつも併記される。

 ③なお,以前は「分かち難く一体」とされていた用語も,
  時代とともに分離される。
  (例)運輸・通信業 → 運輸業,情報通信業に分離。
    「運輸・情報通信業」というような表記はない。
    印刷・出版業 → 印刷業は今も第二次産業だが,
    出版業は第三次産業(映像・音声・文字情報制作業)へ移行。

 ④「分かち難く一体」かどうか,不明の場合もある。
  「・」のほかに,「=」(半角ダブルハイフン全角ドリ)を使う場合も。
  「・」も「=」も入れずに,続けてしまう場合もある。
  教科書も各社いろいろ。その本で,どうするか,決めておく。
  または,校正のときに統一する。

  (例)アルプス・ヒマラヤ造山帯,
     フォッサ・マグナ,
     ナショナル・トラスト
     プライメート・シティ,
     ウルグアイ・ラウンド,
     デジタル・デバイド
     ワーキング・ホリデーなど,実にたくさんある。

(05)外国人の人名

 その本でどうするか,決めておく。
 または,校正のときに統一する。

 ①姓名の区切りは,「=」か「・」を使う。
 ・教科書では「=」(半角ダブルハイフン全角ドリ)でつなぐことが多い。
  フランシスコ=ザビエル,マルコ=ポーロ
 ・新聞では「・」が使われている。
  ダライ・ラマ,マイケル・ジャクソン

 ②韓国,北朝鮮の人名はカタカナを基本とする。

 ・韓国は現地読みを日本に要請している。韓国の人名は現地読みに統一する。
   キム・デジュン,という表記の後に,
   参考として漢字とその読み(ルビ)をつける場合がある。
   (金大中),ルビ“きんたいちゅう”。
  ・北朝鮮は,韓国に準じるか。
   キム・イルソン,という表記の後に,
   参考として漢字とその読み(ルビ)をつける場合がある。
   (金日成),ルビ“きんにっせい”。

 ③中国の人名は漢字を基本とする。

 ・中国との間では,漢字をそれぞれ自分の国の読み方で読むという,
  相互主義。
 ・中国では日本の地名,人名を漢字で表記して中国語の音で読む。
 ・日本では中国の地名,人名を漢字で表記して日本語の音で読む。
 ・お互いにそれでよい,それがよいとしている。
  毛沢東(ルビ,もうたくとう)という表記の後に,
  参考として現地読み(マオ・ツートン)をつけることも可。

(06)中国や朝鮮の地名

  中国とは相互主義ではあるが,地名については,漢字表記よりも,
  現地読みのカタカナで示す方が多い。中国の漢字が難しすぎることもある。

 ①カタカナで表記し,初出のときにパーレン付き,
  または行間などで漢字を示すこともある。
  ペキン(北京),シャンハイ(上海),ホンコン(香港),
  プサン(釜山),サンシヤ(三峡)ダム,ホワイ川(淮河),
  トマン川(豆満江)。

  区別が必要な場合は,漢字を付ける。
 ・華北には,ロンイエン(竜烟)鉄山。
 ・華南には,ロンイエン(竜岩)鉄山。

 ②カタカナで表記する。漢字はかなり難しいので,示さないことが多いもの。
  マカオ,アモイ,ウルムチ,ラサ,カイロワン,パイユンオーポー,
  シンチヤンウイグル自治区。

 ③カタカナ表記のみ。漢字は使わない(併記しない)。
  ソウル。

 ④漢字表記が多い。
  長江(ときに,チャン川),黄河(ごくまれに,ホワン川),
  大運河(ごくまれに,ター運河)。

 ⑤漢字表記のみ。
  台湾。

(07)その他

 ・その本で,どうするか,決めておく。
  基準にする地図帳を(帝国書院が多数派)(年度を含め)決めておいて,
  それにそろえるのが,いちばんよい。
 ・または,校正のときに統一する。

 ①ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ,ティ,ディなど
  スカンディナヴィア半島,ボルティモア,

 ②バーグ,ブルグ,ブルクを区別する。
  ヨハネスバーグ,サンクトペテルブルグ,ルクセンブルク

以下,
[3] 統計について
へ続く。

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