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2009年11月21日 (土)

地理の編集者のために ■ [1]

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高校地理,中学地理,小学5年など
「地理」の学習参考書の編集者のために


[1] 原稿の整理要領

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(01)パーレン,かぎカッコ

 ①全角にする。
 ・文英堂の標準とされる半角のパーレンでは,文字間が詰まりすぎると思う。

 ②前後の文字のフォントにかかわらず,すべて明朝にする。
 ・「 カール(圏谷) 」とあり,カール,圏谷とも新ゴMでも,パーレンは明朝。

(02)句読点…社会科は横書きが基本なので。

 ①全角「,」「。」にする。
 ②行末は,ぶら下がりにする。
 ③前後の文字のフォントにかかわらず,すべて明朝にする。
 ・新ゴの「,」「。」と明朝の「,」「。」がまざっているのは,
  きれいでない。

(03)項目を並列して表記する場合

 ①原則として「,」を使う。
 ・「米,小麦,綿花などの生産が多く」
    ↑単語の並列はコンマにする。
 ・「地価の暴騰,工業用水の不足,住宅問題,交通問題などがあって,」
    ↑事項の並列はコンマでないと分かりにくい。
    ↑単語と事項の並列がまざる場合も,コンマでないと分かりにくい。

 ②「映像・音声・文字情報制作業」とか,「サケ・マス」などのように,
  分かち難く一体の用語(後述→[2](04))のみ,中黒「・」を使う。

(04)行間に補注的な文字を入れる場合

 ①全角の「,」「・」「( )」などは,間延びして見えるので,
  これらは半角にする。
 ・文末の「。」は入れなくてよい。

 ②本文のスミ色と色を変えて,C100とか,M100などにする。
 ・4色では,C100+M30とか,M100+C30などにすると,濃くめだつ色になる。
 ・特色の場合も,色100+BL30などを検討するとよい。

 ③フォントは,中Gにすると見やすくなる。

(05)本文解説中の数字など

 いろいろな表記がある。その本ごとに決める。
 または,校正のときに統一する。

 ①算用数字…1~9のみ全角。10以上は,半角の数字を組み合わせる。

 ②「192か国」…大きい「か」を使う。「ヶ」「ケ」「個」などは使わない。

 ③分数は,「3分の2」「2万5千分の1」のように表記する。

 ④順位は,「世界第1位」のように表記する。

 ⑤「一つ」「二つ」「第一は」「第二に」などでは,漢数字を使う。
 ・用語の場合は漢数字…第二水俣病。第二次世界大戦。第四次中東戦争。

 ⑥「3,000」のように,桁区切りのカンマを入れると,見やすい。
 ・しかし,「子どもが書くときには,カンマを入れない」と言う著者もいる。

 ⑦16℃(←摂氏16度),年降水量300mm(ミリ),東経135°(度)(135°E)

 ⑧日本の元号はとくに必要な場合のみ併記する。1965(昭和40)年。

 ⑨丸付き数字,パーレン付き数字は,太G=ビブロス外字,のように指定する。
 ・本文と図表が対応しているような場合は,
  とくにフォントをそろえておきたい。

(06)本文解説中のアルファベット

 ①全角にすると,間延びして見えるので,
  プロポーショナル(固有の字送り)のフォントにする。

 ②前後の漢字などとの間が詰まりすぎるときは,四分アキにする。

(07)なるべく「,」を多用する

 紙面の文字が詰まりすぎないようにするために。

 ①主語の後は,だいたい「,」をつける。
 ②接続詞の後は,必ず「,」をつける。
 ③文を短くする。
 ④体言止めを使う。

(08)ルビ文字

 ①その漢字を読めない人は,どうしても読めないわけだから,
  なるべく多めに付けてあげる。
 ・原則として,そのページの初出時に付け,同じページ内では後は付けない。
 ・本文中にルビを付けても,地図中では付けないことが多い。
 ・いずれも,煩雑な感じを避けるため。

 ②親文字のフォントにかかわらず,すべて明朝体にする。
 ・新ゴMの親文字に,新ゴMのルビ文字がつくと,べたべたと重苦しい感じ。

 ③原則として,二分ルビ(漢字1字に対してルビ文字は2字)。
 ・「琉球」など,漢字1字にルビ文字が3字以上の場合は,印刷所に任せる。
  →ルビ文字を長体にしルビ3字分を,漢字1字にあてる。
  →二分ルビで,漢字の間や前後を適当にあける。
  →二分ルビのままで,漢字の間や前後をあけない。左右に広がる。

 ④親文字と同じ色にする。
 ・親文字が色文字の場合に,ルビだけスミにすることもあるが,見苦しい。
 ・複数の色を重ねたルビ文字でも,印刷で色がずれることは,ほとんどない。

 ⑤原則として,モノルビにする。紛らわしいものもあるが,以下はモノルビ。

 ・信濃(しな,の),出雲(いず,も),讃岐(さぬ,き),
  大豆(だい,ず),熱海(あた,み),上総(か,ずさ),
  日向(ひゅう,が)など。

 ⑥グループルビにするものは,例外的なので,決めておくか,
  基準にする地図帳を(帝国書院が多数派)(年度を含め)決めておいて,
  それにそろえるのが,いちばんよい。
  以下は,グループルビ。

 ・大和(やまと),武蔵(むさし),飛鳥(あすか),近江(おうみ),
  相模(さがみ),弥生(やよい),硫黄(いおう),安積(あさか),
  小豆(あずき),流鏑馬(やぶさめ),眼鏡(めがね),為替(かわせ),
  百日紅(さるすべり)など。

 ⑦ルビの中の拗音や促音は,小さく表記する(捨て仮名を使う)。
 ・活字の時代は,捨て仮名は使えなかった。
 ・上越…「じょうえつ」。小さい「ょ」を使う。大きい「よ」にはしない。

(09)表組みのケイなど

 ①ケイの太さは,0.2ミリを基本に。

 ②きれいに見えるように
 ・表の左右の端の縦ケイは省略する。全体をケイで囲んでしまわない。
 ・表頭のセルにスミ10のアミをかける。
 ・主たる文字は,本文の文字より1~2Qほど小さめにする。

(10)本文中でパーレンに入っている年次,参照ページ,補注的な文字など

  これらは,前後の文字のQ数よりも,2Q小さくすると,見栄えがよい。
  (例)ドイツ人ウェゲナー(1880~1930年)
     古大陸塊のパンゲア(→p.103)
     アンティボドス島(48°S,179.5°W)

(11)写真や図版のキャプション

 ①本文の文字より,1~2Q小さい文字にすると,見栄えがよい。
 ②キャプションの頭に付ける「●」などの記号は,
 ・いつもキャプションの文字の頭に付ける。
 ・キャプションの文字の最後には付けない。

(12)センター試験と解答欄

 ①地理のセンター試験の問題は,良くできているものが多い。
 ・国立大付属中高の入試問題などに,良い影響を与えている。
 ・毎年の問題は,よく見ておきたい。

 ②解答欄の形式は,いくつかのパターンがあり一定になっている。
 ・次にまた編集するとき,コピー&ペーストに便利なように,
  解答欄だけを集め「センター解答パターン」というファイルを
  作っておくと便利。

(13)インターネットのURLのアドレス表記について

 ①昔のインターネットは,検索機能がなかった(貧弱だった)ので,
 ・URLのアドレスをいちいち打ち込んでアクセスすることもあって,
  本にアドレス(http://www.… など)を記載しておくことも
  必要であったが,現在は検索機能がひじょうに充実してきているので,
  本文中にアドレスを掲載することは,不要だし,流れから外れている。

 ②インターネットの利用としては,
 ・検索の仕方をていねいに解説しておく方が,ずっと重要になっている。

(14)理解を助ける図解,イラスト,写真を効果的に

 ①正断層と,逆断層の違い。なぜ,「正」と「逆」があるのか。
 ②背斜と,向斜。
 ③農作物,家畜,各民族の衣食住,などは,イラストまたは写真で出したい。

(15)理解を助ける解説

 ①文科省が検定する教科書では,固有名詞の企業名は決して出てこないが,
  学習参考書では出した方が読者にとって分かりやすい場合が多い。
  企業名を出したからといって,別に何も問題はおこらない。
  著者の方が教科書と勘違いして,自粛していることがよくあった。

 ・豊田の自動車工業(トヨタの自動車工場が集中)
 ・ドイツのウォルフスブルクで自動車工業
  (フォルクスワーゲンの工場がある)
 ・オランダの多国籍企業(食品のユニリーバなど)
 ・スイスの食品工業(多国籍企業のネスレなど)

 ②関連事項は,可能な限り,まとめて解説する。

 ・単作が出てきたら,二期作,二毛作,多毛作,裏作,表作なども
  まとめて解説してしまう。
 ・小麦が出てきたら,ライ麦,大麦,エン麦なども用途の違いを
  まとめて解説してしまう。

 ③読者の生活との関連で分かりやすくする。

 ・カカオ…チョコレート,ココアとの関係。
  児童の人身売買,過酷な奴隷労働まで書ければ,いちばんだが。
 ・酪農…乳製品とは何か,バター,チーズ以外にも
  具体的にたくさん挙げておきたい。
  液体の牛乳から固体のバターやチーズができるのは?
 ・落花生…なぜ「落花」→「生」か。
  ピーナッツ,ナンキンマメとの関係は?
 ・天然ゴム…ゴムの木の樹液。輪ゴム,自動車のタイヤにも使う。
  そもそもゴムとは,何か。合成ゴムとは,何からつくるのか。

 ④読者の興味をひく解説…このあたり,多くは著者に期待したいところ。

 ・酸性雨で大理石の建造物が溶食されるのは,
  カルスト地形の形成と同じ理由。
  カルスト地形…石灰岩が二酸化炭素を含んだ水(雨)で溶食されて形成。
  大理石…石灰岩の一種なので,二酸化炭素を含んだ水(雨)で溶食される。

 ・ブドウの栽培限界
  フランスはワインで,イギリスはウィスキー(スコッチ)。
  ワインはブドウ,ウィスキーは大麦からつくる。
  イギリスはブドウの栽培北限より北なので,ブドウは栽培できない。

以下,
[2] 用字用語の考え方
へ続く。

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