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2009年7月26日 (日)

出版労連大会(2009年7月17~18日)の感想

出版労連大会に,出版情報関連ユニオンの代議員として出席してきました。
その発言内容の概略は,次のとおりです。以下,労連新聞に指定の字数で原稿として送ったものです。

議案書の中の「貧困,格差をなくすために」はよい内容。ユニオンは,反貧困フェスティバルにブースを出して参加した。最近は,出版産業の低迷や不当な労務政策で,職場単位での相談も増え,組合員が増加。組合に入った労働者が,次には助ける側に回るように,新しくできる労働相談室には,ユニオン組合員が補助員として参加する予定。少数のため春闘などの要求を出せない状況にある組合員が多数いるので,新入組合員のためのファストステップ,しごとネット,憲法茶話会,労働法学習会,SNSのなかまネットなどを通じ,経営者に要求するだけにとどまらない労働運動をめざしている。東京とくらべ,出版産業の基盤が狭い地方では,少数でも継続していく組織と運動の核としてユニオンを守っていきたい。京都では,全印総連京都地連との共闘,京都MICへの参加などを進めている。

以上ですが,
この発言以外で,気がついたことなど。

(1) 今年の労連大会では,小学館労組(出版労連の最大単組)出身の委員長が降板になり,主婦と生活社労組出身の副委員長が委員長に選出されました。当日配布の新役員選挙の名簿には,次の小学館労組出身の中執は入っていませんでした。配布資料に,09春闘での賃上げや一時金の一覧表がありましたが,その種の表ではいつもいちばん最初にあるはずの小学館の数字が,組合名ともに,1行まるごと空欄になっていました。以上,大会において気がついた事実のみです。中執,その他の発言には,この点に関するものは,ゼロでした。私も気付いたことは,黙っていました。

(2) 裁判員制度については,労連中執が「制度の実施延期を求める」という見解を示していて(4/28)それが「一般報告・資料集」に載っています。妥当な内容だと思います。ところが,議案書の統一要求基準の中に,「裁判員休暇制度」の項目があります。すべて有給保障とする,日当と交通費は個人に帰する,休暇中の職場での配慮を求めて,労使協定を結ぶとなっています。そして,議案書にも,「個人および職場の不利益・負担とならない休暇制度の労使協定を結びましょう」と書いてありますが,合点が行きません。

第一,要求を出す場合には,職場で裁判員制度の是非について,議論しましょうという提起が必要ではないか。職場で裁判員制度に関する見解をまとめることが必要ではないか。

第二,裁判員休暇制度は,労働者が職場で経営者に出すような要求か。要求を出すとすれば,それは政府,最高裁判所に対して,再検討を要求することではないだろうか。職場で一定の力関係を保持している少数の恵まれた組織労働者が,権益として有給保障を勝ち取っても,その適用範囲はその職場だけの狭い範囲にとどまるわけで,その適用範囲を拡大しようというような運動提起も意図もない現状をどう考えるのか。企業別組合が力任せに取れる要求を取るだけでは,職場で要求を出すような環境にない労働者,ネッツなどの自営業者は,おいてきぼりをくうだけになると思われます。

農民や自営業者は,日当1万円と交通費だけでおしまいです。組織労働者が,これに加えて,有給休暇にする必要性や意義がどこにあるでしょうか。取れる力量のある少数の企業別組合だけがいくら権利を獲得しても,それが社会的に拡大していかなければ,取れない組合,組合のない労働者,労働組合とは無縁の市民から見て,怨嗟の対象にすらなってしまうのです。これは,労働組合をめぐる現在の状況そのものであり,こうした点を考慮せずに,「労使協定を結びましょう」では,困ります。

(3) 企業別組合の力の衰えは,ますます進行しています。小共闘も,地協も運営方法の変更を迫られている現状で,危機的な様相をなんとかしのいでいこうとする発言がいくつか聞かれました。僕は,出版労連の今後の展望として,①理念的な組合員の存在,②ユニオン,ネッツという個人加盟組合の存在をあげて,発言の締めくくりとしました (まもなく定年退職の関係から,労連大会に正代議員として出席する機会は,最後だと思われますので)。

①理念的な組合員の存在とは,
→賃金,物理的な職場環境改善にとどまらない組合運動が展開できる素地。
→言論・出版・表現の自由,教育,ジャーナリズムなどで,民主主義をささえる熱意。
→出版産業をめぐる課題や,出版産業別最低賃金の活動。

②ユニオン,ネッツという個人加盟組合の存在では,
→労連全体の支援(SUN基金),サポート支部に参加する組合員があげられると思います。

時間の関係で十分には話せませんでしたが,自分としてはまとめをしたつもりです。

(4) そして,この点に関してさらに言えば,今後,出版労連に加入してくる組合員は,これまでのような“出版人”的な要素を有する理念的な層よりも,現場労働者的な感覚の大きい層になるのは,確実です。今,労働組合にもっとも求められているのは,労働者としての当然の権利を行使でき「フツーの仕事」ができる職場環境であって,そういう要求から組合に加入してくる場合が大半です。出版人的な志とか,産業の将来か,平和運動に参加したいといって労働組合を見るような例は,まれです。切実な要求は,労働組合のない職場において,劣悪さをましている働く環境の改善になって来ています。

理念的な組合員は,企業別組合の衰えとともに姿を消していく方向ですから,この点での今後の展望は絶えず点検する必要があると思われます。
そして,労働相談を契機に加入してくる出版情報関連ユニオンの組合員に対する,ファストステップの学習とか,支援してもらった組合員が次には支援する側に回っていくような運動の展開は,とくに重要視して考える必要があると思います。

(5) 地方でも,企業別組合が少数化して,運動の継続が困難になっています。出版産業の基盤が小さいだけに,東京よりも深刻です。しかし,たとえ私たちが少数になっていても,労働組合を必要として,門をたたいてくる出版関連労働者がいます。そういう労働者に応えて,違法な労務政策をただし,職場に法律の光を当てていくことは,労働組合の使命です。企業別組合をユニオンに移行させながら,少数でも継続していく組織と運動の核を形成して保全していくことが,切実に求められていると思います。
ただし,企業別組合の中には,ユニオンに合流していく前に解散してしまったりして,最後まで自分の企業内の枠でしか労使関係を見ない絶望的な例があります。出版労連の中執としては,こういう問題について,もっとはっきりとした展望と方向性を示すべきだと思います。

以上。2009年7月26日記す。

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