« SNS 「なかまネット」 より転載--2009/年初 | トップページ | 【まとめ】出版労連・09春闘方針案について »

2009年1月27日 (火)

出版労連・関西春闘討論集会にて

 以下は,ユニオンSNS「なかまネット」に二回にわたって書き込んだ内容を,整理,まとめたものです。1月24日の標記集会で,分散会などで配布したもの,そのままです。そのさいの発言内容としては,この内容の一部だけです。

■現在の情勢

世界的な大不況,日本社会の格差と貧困の拡大,出版産業の行き詰まり。

■社会的な課題

出版労連という産業別労働組合にとくに求められている社会的な課題は,何か。

(1) 格差と貧困の解決のために,雇用の拡大をめざす方向を明確にアピールすること。

(2) 出版産業の中の貧困を,可視化していくこと。
  版元では,派遣社員などの非正規や,フリーランスの拡大。
  取次や書店などの流通分野の低賃金。
  印刷や製本などの製造分野の低賃金
    …全印総連との共同の闘い。
     京都印刷出版ネットにおけるネットアッププログラム。

■議論すべきテーマ

私たちが議論すべきテーマは,何か。

(1)職場での人員増の要求を,どう位置づけるか。
(2)職場での正規,非正規の均等待遇は,どうやって実現するのか。
(3)ワークシェアリングを,どうイメージするか。
(4)企業別組合でも個人加盟ユニオンでも共通する職場闘争とは,何か。

************************
議論すべき各テーマの詳細
************************

(1)職場での人員増の要求を,どう位置づけるか。

・正社員の長時間,過密労働の解決という側面のほか,雇用拡大の観点を重視する。
・派遣社員などの非正規でも受け入れる。
・非正規が増えている状況では,その貧困の問題を取り上げていく。
   正社員化の要求…業務上必要な従業員は,正社員で当然。  
   均等待遇の要求…何を基準に均等にしていくか,難しい面がある。

(2)職場での正規,非正規の均等待遇は,どうやって実現するのか。

・労働組合の理念としての同一労働同一賃金の原則。
  組合内での討論が必要。
   『世界』「若者が生きられる社会宣言」…労働組合は均等待遇の基礎となる職務給の検討を!と
   提起されているが,…。

・企業に対する同一労働同一賃金の要求。

  しかし,現状の正規労働者は,年功賃金,年齢給要素が強い職能給など,属人要素による賃金決定。
  非正規労働者は,最低賃金を基準とした職務給(年齢,勤続,扶養などは無視)。
  そういう正規労働者の賃金まで,パート労働者の賃金を上げていくことをめざすのか。

(3)ワークシェアリングを,どうイメージするか。

 ① 労働時間の短縮によるワークシェアリング

 ・対政府要求→労基法の改正で労働時間の短縮,三六協定特別条項の廃止。
 ・対経営要求→サービス残業の根絶(させない)。
  三六協定の遵守,特別条項の廃止。
  残業を減少させる→なくしていく。

 ② 有給休暇の取得促進によるワークシェアリング

 ・対政府要求→労基法の改正で休暇日数の増加,取得の義務化,取得推進政策。
 ・対経営要求→実効ある取得促進政策,無効化をなくすための政策。

 ③ 上記の①,②のために労働組合内部でも組合員の理解を深める取り組み

 ・雇用拡大のためのワークシェアリング,連帯という位置づけの理解。
 ・サービス残業はしない,三六協定は守る,という自主的な賛同。

 ・残業減では,時間単価の低下はおこらなくても,
  賃金総額の低下がおこる。生活への影響をどう見るか。
 ・仕事の遅延と責任(マイナス査定)などの問題。
 ・責任感や,本づくりのプライド(好きな仕事,やりがいのある仕事)の問題。
 ・自分はやりがいのある仕事が存分にできても,
  そのために職がなくて困窮する人があるとしたら?
 ・職がない人自身の自己責任か,それとも政府の責任か,企業の責任か。
 ・政府と,経営に要求するだけの方が,簡単だが,それでよいのか?
  労組の社会的な責任として。
  現在の経済,雇用情勢に対する労組の対応として。

 ④ 出版の版元での打ち出し方として

  「まず株主配当,内部留保」の問題というのは,独占的大企業には当てはまっても,
  出版産業ではどうか。一般論だけでなく,産別組合としてどうか,課題のはず。

 ・超過密労働の解消のために。人手不足,人員増の要求に関連づける。
 ・雇用の維持,拡大のために。
   緊急避難的な場合…
     経営公開,労使協議を前提として,
     時給を下げ,労働時間を短縮して,連帯してしのぐ。
   賃金水準が一定以上の場合(とくに超過密労働の場合)…
     時給は維持するが,労働時間は短縮,その結果,賃金減少を認め,
     そのかわりに人員増を要求していく。

(4)企業別組合でも個人加盟ユニオンでも共通する職場闘争とは,何か。

①これまでの職場闘争との関連で

・到達水準を点検する。以下は,SNS「なかまネット」の新村ユニオン委員長の書き込みです。

    到達水準の違いや産業の状況を度外視して「生活危機突破」「不況宣伝に負けるな」等と、各単組・小共闘ごとの高い要求を励ますニュアンスを強くしていて、(難しい状況のなかで、逆に)保守化しているように思える。

・取れるものは何でもどこまでも取っていくことは,止める。

 賃金,労働条件とも,社会的水準(=上の到達水準)の認識が求められる。
 取れる組合が取っていくだけ,取り残される組合(員)がふえる。
 配分の課題(共益的志向)にとらわれない考え方と方向に進む(公益的志向へ)。

・住宅手当,家族手当,社会保険3:7などは,企業には要求しない。

 職務給的な賃金,同一労働同一賃金の方向を意識する。
 社会保険3:7は,会社保障ではなくて,社会保障で実現させる。
 ライフスタイルに応じた社会保障(児童手当,公共住宅,介護保険)は,対政府要求。

②これからの職場闘争…職場でとくに重視すべき課題

・賃金,労働条件,環境改善への偏重,モノ取り(共益的志向)に陥らない,公益的志向をもった春闘へ。
・企業別組合でも,個人加盟ユニオンでも共通する「職場での課題」がある。
・出版情報関連ユニオンでも状況に応じて,職場の課題(≒春闘)として取り組むべき課題である。

 1)労働者の命と健康
  人間らしい生活と労働の基礎は,命と健康。
  パワハラ,セクハラ,メンタル障害の課題などへの取り組み。

 2)雇用の維持
  解雇,契約破棄,契約打切りなどとの闘い。
  安定して,将来を見通すことができる雇用,正社員化は生活の基盤。
  人員増,ワークシェアリングの検討などで,雇用の維持,拡大をはかる。

 3)法律を守る責任
  コンプライアンス。とくに労働法。
  会社の労務担当責任者でも,労働基準法を知らない。
  労働組合が教える立場に立つ。
  労働者(組合)自身が,法律を尊重し守っていく。

 4)社会的道義的な責任
  外には出せない“もろもろ後ろ暗いこと”は,職場内で解決していく。
  道義的責任は,企業の存続のためにも必要。吉兆(船場)の偽装は法に違反したが,
  民事再生の見込みがあった。
  しかし,その後,法律違反ではない「使い回し」が発覚したことによって廃業に追い込まれた。
  企業の存続が危うくなるような内部告発に至る前の段階で,労働組合が責任をもつ。

 5)出版物に関する責任
  産業別労働組合として教科書問題に取り組むことは,最大の課題である。
  各職場ごとでも,内容,作り方,働かせ方などで社会的責任の追及が求められる。

③対政府要求とは

・労働規制の強化…派遣法の抜本改正など。
・生活保護を上回る全国一律最低賃金制。
・ライフスタイルに応じた社会保障(児童手当,公共住宅,介護保険)。
・若年層,非正規などへの職業教育。
・同一労働同一賃金の原則の確立。
・その他。

(追記 ワークシェアリングについて)

 経営側のワークシェアリングを批判するのは,そんなに難しいことではないと思われます。ワークシェアリングに名を借りた“賃下げ”では,ますます内需を冷え込ませるだけであることは,明白です。個別企業にとっては合理的に見えるような判断でも,ときには社会全体にとっては,マイナスになるわけで,そこに,政治の役割や,労働組合の発言が求められると思います。

 独占的大企業には,膨大な内部留保があり,これまでのボロ儲けをそのままにしておいて,操業短縮で労働者の賃金を削るのか,不当だ!!だいたい自動車工場だって,夜は休んで昼だけ操業するのが,人間らしい生活と労働の基本です。24時間,工場を動かすのを前提とする方が,異常だ。

 当然です。
 しかし,では,労働組合としてのぞましいワークシェアリングをどう考えたらよいのか,雇用を拡大して行くには,どうしたらよいのか,その政策や考え方,取り組みの姿勢などが問われていると思います。

|

« SNS 「なかまネット」 より転載--2009/年初 | トップページ | 【まとめ】出版労連・09春闘方針案について »

09ユニオン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 出版労連・関西春闘討論集会にて:

« SNS 「なかまネット」 より転載--2009/年初 | トップページ | 【まとめ】出版労連・09春闘方針案について »