« amazon.co.jpユーザー様向け限定特典 | トップページ | Vista Print その後 »

2008年9月12日 (金)

「生活防衛」でよいのか

■これからはじまる08秋年闘でも,来年の09春闘でも,出版労連の運動の方向として,「生活防衛」を大きく掲げるのは,あまり良くないと思います。

■確かに消費者物価は上昇し,とくに食料品とかガソリンとか生活に身近なものの価格は上昇しており,問題はあります。それだけに,加盟組合の運動を,賃上げや一時金などの方向にうながすのは,支持を得やすいし,時宜を得ているようにもみえます。そこに集中しやすい客観的な情勢かもしれません。

■しかし,物価上昇を理由にした一時金アップ,賃上げという闘争では,社会的な問題は解決しないと思います。賃金に集中しやすい客観的な条件が大きいだけに,それだけ,企業内の共益的な課題に運動を閉じこめてしまう危険性が高くなっています。そして,未組織,非正規労働者の視点からかけ離れた運動に走っていってしまう危険性が高いと思います。

■高度経済成長の時代とは異なり,現在は経営側にも余力が少ないわけですから,要求と団交では前進はなかなか得られないでしょう。だからといって,戦術の行使もままなりません。そこでまた,目が企業内の交渉,ウチの経営に集中してしまいがちです。そうして,ねばり強く,要求にこだわって交渉することが課題となってしまいかねません。そういう方向が,運動を社会的に広げる方向だとは思われません。

■労連が,加盟している企業別組合に対してどういう運動方向を示したらよいのか,その議論の材料として,「生活防衛」の再検討を提起したいと思います。

■労働者をめぐる社会情勢を全体として捉えると,今,第一に求められているのは,「生活防衛」ではなくて,仕事と生活を見直そう,仕事と労働運動を見直そう,という方向ではないでしょうか。「人間らしい生活と労働」です。これは,企業別組合の連合体である出版労連が,職場外のワーキングプアなど,社会的な問題に切り込んでいく道筋としても重要だと思います。企業別組合が「生活防衛」を達成しても,職場外のワーキングプアには,何ら影響が及ばないと思います。現在の社会状況がそれを証明しています。しかし,「人間らしい生活と労働」から進んでいけば,社会的な視点が生まれてくるはずです。正規労働者の過酷な労働と,非正規労働者の不安定な労働は,連動した事態であって,表裏をなす状況であって,ともに「非人間的な生活と労働」ということで,共通するからです。

■出版労連が加盟組合に強く求めるべき職場の第一の課題は,過労死,在職死亡,メンタルヘルス不全など,生命と人生にかかわる問題ではないでしょうか。各職場でこうした問題を第一に取り組んでいけば,他の職場にも目が向くようになると思います。労働組合運動に参加する時間の問題も,仕事が忙しいからやむを得ない,大会成立基準を見直そう,討論集会の形を変更しよう,ということではなくて(当面の対処としては仕方がないとしても),ライフワークバランスの検討の中から議論されるべきではないでしょうか。

■このまま進んでいけば,正規雇用の多くの労働者が仕事に忙殺されてしまい,自分の生き方を見つめることができるはずの組合運動に参加する時間と体力をも奪われていくと思われます。仕事と職場の圧力から,個人で問題を抱え込み,メンタル不全を引きおこし,ひいては過労死,自死にいたる例が増えていくのではないでしょうか。秋年闘で一定の一時金を獲得し,春闘である程度の賃上げを獲得しても,その後で,仕事に追われてその賃金分を,あるいは,それ以上の分を会社に取り返されてしまう事態に陥っているのではないでしょうか。「生活防衛」の方針の中に,こうした事態に対する歯止めはあるでしょうか。

■組合員の総労働時間の実態は,どうなっているのか。過労死をふくむすべての在職死亡の数は,どのくらいなのか。メンタルヘルス不全の数は,どのくらいなのか。企業内の非正規の種別と数は,どのくらいなのか。正規と非正規の賃金格差は,どのくらいなのか。仕事を共有するという観点でのワークシェアリングは,どうしたら実現できるのか。そういう問題に踏み込んでいくのが,労連の進む方向として,第一に必要ではないでしょうか。労連が現在,実施しているメンタルヘルスの相談窓口は,それはそれで良いのですが,これはあくまで対症療法であって,運動の方向を示す方針にはなりえません。

■今日9月12日は,東京で秋年闘討論集会が開かれているのに,それに参加せずに,遠吠えみたいです。しかし,これまで参加してきた討論集会では,だいたい,賃金を中心にして秋年闘や春闘をどう展開,交渉していけばいいのか,に終始しています。もっと基本的な問題で,広く討論できる場所はないのか,ほんとうに疑問です。労連大会での討論も,わずか7分間の言いぱなっしですから,議論が進んでいかないと思います。出版労連の運動について広く議論する場がない状況のまま,安易に経験的なスローガンが一人歩きしないように見守りたいと思います。

■今年の4月18日には労連として「個人加盟労組を知るための単組代表者会議」が開かれました。これは,個人加盟ユニオンを含めて出版労連の運動について,討論集会で議論する場がないという提起に対して,まず,個人加盟労組を知ってもらうことが必要だという,労連中執の判断で開かれたものでした。それはそれで良かったのですが,問題は,個人加盟ユニオンだけのことではなく,企業別組合も含めて,労連のこれからの運動方向を検討していく場がほしいという意味があって主張したものでした。このままで行くと,その地点までの道のりはなお遠く,なかなか行き着けないように思えます。

|

« amazon.co.jpユーザー様向け限定特典 | トップページ | Vista Print その後 »

08-Union」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「生活防衛」でよいのか:

« amazon.co.jpユーザー様向け限定特典 | トップページ | Vista Print その後 »