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2008年8月30日 (土)

第38回定期大会,おめでとうございます

■京都書房労組の皆さん,第38回定期大会,おめでとうございます。地協総会の議案書に報告されていました職場報告を読みまして,その感想などをお送りし,貴大会へのメッセージといたします。

■組合員が少数になり,高齢化して,若い人がなかなか組合に加入しない職場は,めずらしくありません。高齢化による企業別組合の消滅という事態は,現実の問題です。そこから,出版情報関連ユニオンへの移行という方向も打ち出されています。しかし,ユニオンへの移行など,現実的な処理方向を考える前に,こうした状況をどう考えたらよいか,そこが問題になると思います。

■第一は,労働組合を本当に必要としているのは,だれか,という問題です。

 今はかろうじて残っている少数の組合員が全員退職した後で,労働組合が消滅しても,それは,今の組合員には大きな影響はないはずです。労働組合の消滅は,どう見ても,残された労働者の問題であって,労働組合が必要かどうか,存在意義があるかどうか,それは,残された労働者一人一人が判断することだと思います。

 出版労連に加盟する労働組合が存在しているような職場は,それだけで,十分に恵まれている面があると思います。今,本当に労働組合を必要としているのは,身近に労働組合がなくて,時給1000円で働いていて,4か月で(雇用保険もでないまま)一方的に解雇されてしまうような,解雇されてからインターネットで労働組合を探すような,そういった労働者ではないでしょうか。

 オープンショップの労働組合では,職場の非組合員には,いろいろな立場があります。主義,主張から加入しない人もいます。躊躇しているだけの人もいます。人間関係から判断する人もいます。それは,多様だと思います。しかし,いずれにしても,労働組合が存在していることによるメリットを享受することができます。その上に,非組合員の立場だからこそ,享受できる「旨み」もあります。積極的に享受する人もいれば,そういう考え方をとらない人もいるのは,確かですが。

 つまり,オープンショップの職場では,組合に対するフリーライダー(「ただ乗りする人」という悪い意味合いではなく,そういう状態を示すだけの,中立的な意味の言葉です)が許されるわけです。労働組合加入を強要することはできません。フリーライダーを許さないはずのユニオンショップの職場でも,事実上のフリーライダーが存在しています。労働組合加入は,各労働者の自主性と自発性に任せる以外にないと思います。加入してからでも,どういう関わり方をするのかも,当人に任せる以外にはありません。

 フリーライダーの状況から組合加入を考えて見ると,組合費をとられる,自由時間をとられる,仕事をする時間をとられる,会社から悪く思われる,業務以外で評価される,など,デメリットばかりが目につくはずです。もし少数派の組合に加入したら,組合の業務を押し付けられるとか,そうしたデメリットがとくに拡大されるわけです。

 今の労働組合に,そうしたデメリットにまさるメリットがあるか,どうか,どうしても考えざるを得ません。そういうフリーライダーは,現状が維持されるなら,自分から行動を起こすことは,たぶん少ないでしょう。労働組合が存在しなくなって初めて,状況をつかみ直す契機が訪れるわけです。

 もちろん,労働組合からの訴えかけ,働きかけは,基本です。しかし,そうした「組織拡大」の取り組みを過大に評価し(そうした取り組みに過大な位置づけを与え)たり,その結果,成果がなかった場合でも,それを労働組合の側の自己責任と捉える(やり方が足りないから成果があがらないと考える)必要はないと思います。

■第二は,組合運動の核は,どこにつくったらよいか,という問題です。

 労働組合が存在しなくなってフリーライダーの立場も消滅したとき,または,フリーライダーの労働者でも,倒産,リストラ,個人攻撃など,深刻な問題が起こったときには,労働組合との関係を考え直すかもしれません。

 そうしたときに頼りにできる,核となる“運動体”が,どこかにあれば,それでよいと思いませんか。そういう“運動体”が,職場の中に存在していなければならない必要性は,どこにもないと思います。職場の中にある労働組合は,どうしても企業内の労働組合員の共益性を第一とする方向に進み,労働組合が本来,持っている公益的な役割が果たされなくなって行くと思います。それは,労働組合の信頼性の低下という問題でもあります。

 これからの労働運動では,運動の核は,職場の外にある方がふさわしいと思います。公益性が担保されます。それぞれの職場では少数でも,そういう労働者が寄り集まって,公益性を発揮した運動ができるようになります。さらに,“運動体”が職場の外にある方が,むしろ,多くの職場の労働者の頼りになることができます。それが,個人加盟ユニオンの運動です。

■第三は,労働組合の信頼性をどう高めていくか,という問題です。

 今の労働組合は,自分たちの既得権益(共益)擁護を目的として,全体的な利益(公益)を考えない集団と思われているのではないでしょうか。今の労働組合は,職場や社会の全体的な利益を代表しているか,どうか,検討すべきときだと思います。

 具体的には,次のようなことです。労働組合が,特定の労働者層の利益(共益)を擁護しているのではないか。他の労働者層の利益を阻害していることはないか,どうか。労働組合が既得権益にしがみついているように見えないか,どうか。

 一方で高給をとって仕事に埋没でき年収1000万を超える労働組合員がいて,もう一方で,非正規で仕事は不安定で年収200万円のフリー労働者がいる,という構図をどう考えたらよいでしょうか。

 また,同じ職場において,経済成長が続いた時代に年齢給賃金体系の元で順調に昇給してきた中高年層と,賃金が先輩に追いつかずにもぐりこみ現象で相対的に賃金が低下している若年層との関係をどう考えたらよいでしょうか。

 こういう二重構造は,労働組合の公益性を阻害することになりかねません。労働組合としては,当然,全体的な利益をはかることを考えるべきで,そこに至る過程では,仕事を共有して,賃金を分け合うというワークシェアリングも検討しなければなりません。このような公益性の発揮が目に見える形になっていかない限り,社会における労働組合の信頼性は高まっていかないと思います。こうしたことを,労働組合の方針として考えていきたいものです。

■以上,書いてきたことは,個別的に貴労組を念頭においたものではありません。一般的な問題提起と捉えていただき,今後,さらに議論を進めるきっかけになればと思っております。

出版情報関連ユニオン・京都支部
支部長 吉田明生

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