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2008年7月13日 (日)

2008年夏,出版労連大会での発言

 2008年7月11~12日,都内で開催された出版労連の定期大会に出版情報関連ユニオンから,代議員として出席してきました。その発言内容です。

 ただし,概略として,以下のように発言したかったという内容です。時間の関係や,話の展開のつたなさで,話しきれなかったところを補った上で,整理したものです。

 なお,今後,労連新聞で報告される記事は,話しきれなかったところは書かないように,という指示に従って,360字以内に整理して送ったものですから,そちらは簡略版というべきものになっています。以下のこちらの版が,正式版ですね。

■ 二つの報告と
ユニオン・ネッツ・サポート基金のお願い■


 新学社のリストラ提案では徳島の新学社労組,ユニオン京都支部の組合員が闘ってきましたが,分離された京都の子会社が,この8月に元の新学社に復帰することになりました。新学社労組の代議員の方も,この大会におみえになっています。

 また,現在一つ,個別労働トラブルをかかえています。解雇問題で,先の金曜に,大筋で解決の見通しが付いたところです。しかし,こうした労働トラブル問題は,実にたいへんです。それに費やしている労力は,相当のレベルです。大阪からの支援を受けながら,ユニオン京都支部の支部長と事務局長がこの間2か月は,かかり切りになっています。その件以外には目が向けられない状況になっています。困難をかかえた労働者を支援していくことは重要ですが,広く支えあいながら,負担を分散していかないと,かなり疲れます。ですから,現在,提起されているユニオン・ネッツ・サポート基金も何らかの助けになるのではないかと,大きな期待を持っています。よろしく協力をお願いしたいと思います。

■ 出版労連は,格差と貧困の問題に取り組むべきだが,
個別経営に均等待遇の要求書を掲げて交渉するスタイルは,よくない。■


 出版労連が組織を拡大していくためには,確かに労働トラブルの解決という,いわば,「マイナス状況の救済」「怪我をした人の救護」も必要でしょうし,そのために基金の役割もあると思います。しかし,それだけでは,「終わりなきモグラたたき」になってしまいます。

 労働組合としては,もっと「プラス方向のアピール」が必要だと思います。そういうアピールによって仲間を増やしていきたいものです。魅力のある運動のないところには,人は集まらないと思います。怪我は治っても,引き続き,参加したくなるような運動が求められていると思います。

 今日とくに,重要なのは,格差と貧困の問題です。出版産業でも決して無縁ではありません。取次や書店の,ワーキングプアの問題にとりくむべきです。この課題に対して,私たちが均等待遇の要求を掲げて運動を進めるのは当然です。

 しかし,個別企業に「要求書」といった文書を出して相手と交渉するそういうスタイル,発想は,脱した方が良いと思います。個別企業に対して要求書を出して交渉するという方向は,問題があると思います。

(1) 労働組合の運動を企業内に収束させてしまうこと,
(2) 経営者とともに問題を社会的に広めていくことにならず,運動の一翼を担うべき経営者を単なる金主(お金を出す人)に変えてしまい,運動の幅をせばめてしまうこと,
(3) 個別経営による「会社保障」が拡大し,「社会保障」の視点が縮小してしまうこと,
(4) 貧困と格差の解消にための均等待遇が,賃金労働条件の問題にとどまってしまうこと,

といった観点で考え直すべきだと思います。

 格差と貧困の課題は,企業内的な均等待遇を求めるという,賃金労働条件の課題にとどまるものではないと思います。私たちが,出版産業で働く貧困層に訴えていく点は,均等待遇を要求しましょうという,レベルではないと思います。

■ 格差と貧困の課題自体は,公益的な社会運動として社会全体の利益をめざしてとしてとりくむ。
春闘など個別企業内の共益的な運動の転換をはかり,出版労連全体の運動にしていきたい。■

 格差と貧困の問題のような,すぐに解決するわけにはいかない課題を,どう取り組むか。こういう課題は,公益的な社会運動として取り組むほかありません。公益的な社会運動とは,底辺を含む社会全体の利益をめざす運動です。

 私たち出版労連は,すでにこういう公益的な社会運動をいくつも進めています。憲法9条守れの平和運動,出版産業の問題点を討論する出版研究集会などです。別に経営に要求を出して交渉していいるわけではありません。社会運動として進めているものです。

 均等待遇も,こうしたスタイルで追求していけばいいと思います。経営者も運動の一翼を担うようになるかもしれません。組合員は,職場,所属する企業にかかわらず,自主的に取り組んでいくことになります。

 労働組合の社会的な地位が低下しているからこそ,春闘や秋年闘のような,個別企業内にとどまる共益的な運動を転換して,公益的な社会運動にとりくんでいくことが重要だと思います。出版産業内の格差と貧困の問題は,出版労連が第一に取り組むべき社会運動だと思います。そして,労働組合として「プラス方向のアピール」の一つになると思います。私たちのユニオンは,その先頭に立ちたいと思いますが,出版労連ぐるみでそういう社会運動が展開できるようになることを期待しています。

■ ネッツの組合員のニーズと
  ネッツの大会議案書のユニークさ


 議案書の中に,ネッツの組合員の基本的な要求が「横のつながりがほしい」「仕事の情報がほしい」「相談できる仲間がほしい」などの点にあると書いてありますが,これは,ユニオンでもまったく同様です。こういう所に,私たち労働組合の運動の基礎があると思います。また,配布されているネッツの議案書は,とてもユニークで,これからの方向として示唆に富んでいると思いました。

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