企業から独立したところに団結の拠点を置く運動
■ 以下は,『格差社会にいどむユニオン』(木下武男),9章「企業主義的統合と労働運動の跛行的展開」の中から,「労働運動側の企業別労働組合主義」に関する引用(303~304ページ)と,感想です。
■ 著者は,大企業において少数派に転落した第一組合などの運動の歴史に関連し,労働運動側の企業別労働組合主義を批判して,次のように展開しています。
(1) 問題は
・主体の側が少数であることを自己認識することであった。
(2) 必要なことは
・少数であることを前提にして企業意識から身を離した集団を形成する。
・企業主義的な統合から自立した集団の企業横断的な連帯を築いていく。
・中小零細企業労働者や非正規労働者の広大な「周辺」に新しい労働組合を築く。
■ ところで,私たちは,企業別の文英堂労働組合,中央図書出版社労働組合において,長期間,企業内少数派を強いられてきたなかで,2004年に個人加盟の「出版情報関連ユニオン京都支部(出版ユニオン京都)」に移行しました。出版労連の中で,個人加盟労組を拡大していく方針があることが分かり,とびついたような感じです。現在でも,労使関係が正常でないまま企業内少数派になっている組合は,少なくないと思います。また,かりにその企業内において多数派を形成しているとしても,出版労連に加盟している組合員は,全出版労働者の中では,少数派でしかありません。
■ 今後,私たちユニオンの仲間の拡大のためには,労働者の階層格差の拡大,労働社会の現状に対応して,出版産業(と情報産業)の二重構造を明確化し,下層の労働者を「視覚化」する作業が,とくに求められています。具体的には,個人事業主はネッツへ,下請編集プロダクションや極小版元に雇われている労働者はユニオンへという旗印を明確にして,その層に個人加盟の労働組合の意義を宣伝していくことです。
これからの出版労連は,大手版元の正社員ではなくて,そうした層に使われてきた零細な(非正規,低賃金,低労働条件の)組合員(ネッツとユニオンに加入)が中心となるでしょう。私たちの個人加盟ユニオンは,そういう形で「イメージ化」できるはずです。
このように「視覚化」され「対象化」された部分に対して宣伝をしていくこと,そこに出版労連・地協をふくめた総合的な力を集中していくことが必要です。それによって,ユニオンと出版労連の将来的なイメージが結実していくのではないでしょうか。
■ 出版ユニオン京都に戻りますが,私たちは,2004年の結成総会の中で,個人加盟労組への移行の意味を次のようにまとめています。この道が労働組合と出版労連の未来につながる道であることを,改めて確信しています。
■個人加盟労組への移行の意味
・労働条件の向上は,労働組合の最大の課題ですが,企業別組合の「追いつけ追い越せ」型の運動では,実現しにくくなっています。それは,私たちのまわりにいる多数の未組織の人たちが,もっと低い労働条件を押し付けられている結果です。労働基準法すら守られない職場も珍しくありません。
・そうした状況では,現在の私たちの労働条件は,「恵まれた企業内の恵まれた労働条件」になっていて,普遍性を持ち得ていません。日本の労働組合の組織率が,全体として20%を割っている現状では,労使協調という特別の存在意義をもっている組合以外は,ますます存在意義に疑問符をつきつけられると思われます。
・全体的な労働条件を底上げしていくには,企業別の労働組合だけの運動では限界があります。運動の拠点と視点を企業のワクの外におき,企業内の労働条件向上にとどまらない運動をめざすことが求められています。社会的な労働条件に目を向け,労働組合の新たな発展,活性化をめざしていきましょう。
・私たちは,今後,企業から独立したところに団結の拠点を置き,企業内の労働条件向上にとどまらない運動,組織を企業に依存しない労働組合運動をすすめていきましょう。
・京都では,全印総連,その個人加盟組織との共同の闘いに道を開き,京都における恒常的な共闘組織を実現させていきましょう。
・私たちの職場との関係では,労働組合員の状況に合わせ,今後の組合活動をスムーズに進めること,労働者の権利と生活を守る運動の中心的存在を確保していくこと,新しく組合に入ってくる人の負担を重くしないこと,などが求められています。このようにして,運動を継続させ,職場における私たちの影響力を確保していきましょう。
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