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2008年1月17日 (木)

労働政策の政治課題と,民主政治の政治課題

■ このメモは,『格差社会にいどむユニオン』(木下武男),7章「福祉国家戦略と労働政治の展開」の中から,「日本における福祉国家戦略と労働政治のあり方」(217~224ページ)の要点と,触発をうけて考えたことです。

■ この本では,著者は,労働運動を政治闘争と経済闘争に分けてしまう不正確さを批判している。ともに,対政府の課題で共通しているが,労働組合においては,次の二つを区別すべきであると主張している。
①労働と生活の固有の領域にもとづく社会政策・社会保障分野……法律制定のための労働組合の本来的な課題。
②一般的な国民的政治課題……個々人の政治的見解・信条に従って取り組むべき政治運動。

■ 以下は,自分の読みかえということで,もう少し,簡潔に用語を整理すると,以下のように表すことができるのではないか。

①働く者に関わる「労働政策の課題」。
労働組合の本来的な課題。運動上では,政党やナショナル・センターと適切な協力,共同の関係をつくることが求められる。

②全国民に関わる「民主政治の課題」。
 組合員個人の政治信条に従うべき課題。

■ 働く者に関わる「労働政策の課題」が,労働組合の本来的な政治課題である。ただし,国民的な課題として,公益性を訴えて闘わないと,運動は前進しないだろうが。
[例]
・パート労働法,均等待遇
・労働者派遣法,日雇い派遣の禁止,ピンハネ率の公開
・男女共同参画社会基本法,
 アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の実現
・男女雇用機会均等法,間接差別の是正,罰則強化
・労働基準法,労働時間規制の実現
・ILO諸条約の早期,完全批准

■ 全国民に関わる「民主政治の課題」は,全国民的な政治課題である。
[例]
・テロ特措法
・教育基本法改悪
・改憲手続き法
・盗聴法
・メディア規制法制
・有事法制

■ 全国民に関わる「民主政治の課題」は,労働運動の第一の課題ではない。ただし,出版労連の場合は,こちらの「民主政治の課題」に対する取り組みがいつもひじょうに目立っている。運動は評価されるが,現状では,その活動が突出していることによって,誤解も受けやすい。労連中執は,運動全体からみて,いろいろな課題のバランスをとる必要がある。とりわけ「労働政策の課題」との関係では,バランスが求められていると思う。

■ 他の単産に比べて出版労連において,「民主政治の課題」に関する取り組みがさかんになるのには,特別の理由があると思われる。それは,

①平和と民主主義,言論・出版・表現の自由が,出版産業の基礎となっている。

②出版労連の活動家には,出版産業の中心部にいて,文化的資源を豊富に有しているインテリ層(知識人層)が多い。

③教科書労働者(教科書共闘)が,検定を通じて,直接,文科省と対決している。教科書問題に関する課題は,出版労連の重要課題となっている。

④目指していたナショナル・センターに加入できなかったトラウマ(心的外傷),劣等感を有する。そのため,本来ナショナル・センターが行うような活動まで引き受けている面がある。

■ 基本的に確認すべき点は,
「どんな政治課題もすべて,一般組合員の自主的,自発的な参加を基本としなければならない」
ということに尽きる。これは,労働組合の活動全般について言えることであるが,「民主主義の課題」については,とりわけ厳格でなければならい。

■ ただし,政治課題への取り組みは,労働組合の組織形態によって,共通する困難がある。

①個人加盟ユニオン…組合員で討議する場がつくりにくい。

②ユニオン・ショップの組合…組合への加入という第一段階が自主的でない。

③企業別組合…経営者を相手にすることが中心になりがちで,目が外に向きにくい。その結果,特定の人(特定の組合)の活動になりがちな場合が多い。

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